子ども時代にときめいたものを想像して、開発するゲームのテーマを決めていますORIDIO takuya oriさん
App Storeでは、個人で、あるいは少人数で、ゲームやAppを開発する数々のインディーズデベロッパが活躍しています。ORIDIOのtakuya oriさんも、その一人です。「ボクと博物館」など、世界中で愛されるゲームを生み出したoriさんに、ゲーム開発への想いを聞きました。
iPhoneで遊べるカジュアルゲームが盛り上がりを見せていた2012年。ウェブ制作会社でバックエンドエンジニアとして働いていたoriさんは、ゲームデベロッパとして個人での開発を始めました。
「幼少期から家庭用ゲーム機が身近にあって、ゲームを作ることにはずっと憧れがありました。カジュアルゲームであれば1人でも開発が出来そうだったことや、大学生の頃に触れていて、当時広く使われていたAdobe Flashでの開発経験などが活かせると考え、独立を決意したんです」

それから約10年。「CUBIC MAZES」など、様々な作品を生み出してきたoriさんですが、近年はリリースされるインディーズゲームのクオリティが高くなっていて、「自身のデザインでは、デベロッパとして生き残れない」と感じていたといいます。
そこでoriさんは、つながりがあったデベロッパ、ココソラにデザインを依頼し、コラボレーション作品として「ボクと博物館」を開発し、リリースしました。
化石を掘り当てるときめき
「ボクと博物館」であなたは、使われなくなった物が山積みになり、クモの巣が張った博物館を建て直すよう言われます。荒涼たる大地へと踏み出したあなたは、博物館に展示するものを用意するため、土を掘り起こし、恐竜の化石を探します。化石を探し出す作業は、まさに夢とロマンにあふれています。
しかし、発掘にはお金も人手も必要です。博物館に来館する人が増えれば、収入になり、多くの人を雇って発掘作業に挑めるようになります。展示物を充実させ、発掘を繰り返していくことで、いずれトリケラトプスやプテラノドン、ステゴサウルスなどを博物館に展示できる日が来るかもしれません。

「ボクと博物館」の化石を掘り、掘り出した化石を組み立てる、というアイデアは、コラボレーションを決めた初日の打ち合わせで挙がったもので、すぐに方向性が決まったといいます。
「恐竜の化石というテーマは、ターゲットが偏っているので、ヒットにつなげるのは難しいかもしれない、という思いもあったのですが、リリースしてみたら、予想を超えてたくさんの反響がありました」
特に海外での反応がよく、ピクセルアートで描かれた化石のデザインも好評で、「世界中の人々がプレイしてくれたことがとてもうれしかったです」とoriさんは言います。反響が大きかった結果、追加コンテンツを制作してゲームのアップデートを3年間にわたって行い、長く遊べるタイトルになりました。
「もし反響がなければ、次のゲームの制作に取りかかっていました。結果的に、100体分の化石を実装したのですが、こうしたコンテンツ拡充はプレイしてくださる方たちに支えられた結果です。本当に感謝しています。
この作品を育てていく中で、古生物学の研究者の方にも楽しんでいただいていることを知ったり、子どもと一緒に化石を掘るのが楽しみ、というレビューをいただいたりしました。遊んでほしい方にしっかり届いていることが実感できて、とても励みになりました」
子どもの頃のわくわくが原動力
ゲームを作る時、oriさんは「“子ども時代にときめいたもの”を想像して、開発するゲームのテーマを決めることが多い」といいます。その理由は、自分自身も開発している時に子どもの頃を思い出してわくわくするうえ、プレイする人たちも同じ感情を持ちやすいからだそうです。
「子どもの頃、博物館や水族館などに行って、初めて見る生き物に心をときめかせた人は多いのではないでしょうか。ピクセルアートによる表現も、心ときめくものなのだと思います。子どもの頃に楽しんだゲームの思い出や、かつて遊んだゲームの記憶を呼び起こしてくれるからかもしれません」

独立した時は、ゲーム開発の経験はほとんどなかったというoriさん。現在も、作っているのはゲームですが、どこかウェブサービスやツールを作っているような感覚があるといいます。
「ウェブサービスやツールは日常的に使うものなので、機能を理解してもらえなければ利用されませんし、使いにくいものはユーザーが離れていってしまいます。そのためゲーム開発では、ゲームのコア部分はシンプルで理解されやすい、使いやすい、ストレスが少ない、といったことを意識して開発しています。それを土台にして、どこか夢中になれる部分を肉付けしていくことで、長く遊べるゲームが作れると考えています」
水族館で新たなときめきを
現在oriさんは、ORIDIOの新たな作品の開発に取り組んでいます。
「水族館のことが大好きで、いつか自分の水族館を持ちたいと夢見る主人公が、ある時、知人から水族館の経営を任されます。水槽や設備を配置したり、好きな魚を水槽に展示したりして、水族館を盛り上げていきます。そうして手に入れた資金を元に、さらに水族館を拡充して素敵な水族館を目指していくゲームです」

最初に経営が上手くいくと、また別の経営依頼が舞い込んでくることもあるそうで、「経営のノウハウや資金を貯めていくと、いずれは自分の水族館を持つことになるかもしれません」と教えてくれました。
まだ開発中のため、仕様が変更になることもある、とのことですが、公開が今から楽しみな作品です。もし「ボクと博物館」をまだプレイしていなければ、まずは100体の化石集めに挑戦してみませんか。