PRIDE

幸せのための
家族のかたち

2人の父親として子育て中の、ShibaさんとKojiさんが大切にするもの。

多様な性のあり方について理解を深め、ジェンダーやセクシュアリティの違いにかかわらず、誰もが公正に扱われる社会を実現していくこと。世界中でLGBTQ+当事者やアライ(支援者)による様々な活動が行われています。

LGBTQ+とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、さらにインターセックスやアセクシュアルなどのセクシュアルマイノリティの総称です。

静岡県に住むShibaさんとKojiさんは、3歳の息子の「いっくん」との3人家族で暮らしています。同性のカップルとして絆を深めて、やがて代理出産の機会を得た彼らは父親としていっくんを迎え、それぞれ「パパ」と「とと」と呼ばれながら子育てに向き合ってきました。

自分が目にするすてきなものを写真や映像にすることで、家族や他の人が喜んでくれる。それがうれしいんです
Shibaさん

ShibaさんとKojiさんは家族の幸福な日常をInstagramやYouTubeなどのソーシャルネットワークに投稿し、数十万人ものフォロワーを持つ発信者でもあります。自分たちらしい家族のあり方を選び、お互いを大切にしながら暮らす彼らに、これまでの歩みと胸の内の想いを訊きました。

2人の出会いと 大きな決断

ShibaさんとKojiさんが出会ったのは15年ほど前。「正反対のタイプだと思った」と語る2人ですが、だからこそ惹かれ合い、一緒に長く人生を過ごす相手としてお互いを意識するようになったと言います。

Shibaさん:「元々は15年くらい前に、友人の紹介で知り合いました。僕は当時、航空会社のパイロットを目指していたんですが、Kojiとは出会ってすぐに、ものすごいケンカをしたんです。彼が書いて出版していた飛行機関連の書籍を読んで、ささいなことで言い合いになり、鬼のように非難するメールを送ってしまったんです。そこでケンカ別れするかと思ったら、向こうから『友だちになりませんか』という返事が来ました(笑)」

Kojiさん:「『飛行機を飛ばす前に、人の痛みがわかる人間になれ』というメールが来たんですよ(笑)。すごいことを言うなぁと思いつつ、自分とは正反対の感じだから、この人と一緒にいたら、すごく面白いんじゃないかと思いました。今となってはあれが出会いのきっかけで、事故みたいに出会うってこういうことなのかな、と。でも、その時は純粋に友達になりたいと思ったんです」

衝撃的な出会いを果たした2人は、やがて一緒に暮らすようになり、さらには子どもを持つという選択に向かって進むことになります。決して平坦ではなかったその道のりで感じていたことを、2人はこう振り返ります。

Shibaさん:「たまたま、子育てをする同性カップルの話を聞く機会があったんです。それまで、子どもが居る家族の形を想像したことはなかったのですが、その人の講演会に行って、Kojiと2人でその家族の姿を見たとき、直感的にすごく素敵で、憧れました。そこで、こんな2人の未来もあるかもしれないと思って、方法や手続きを調べるようになったのがきっかけです。その後は、わからないことだらけで不安でしたし、親や友達にどう伝えるか、いろいろぶつかったこともありましたが、やめようと考えたことはありませんでした」

Kojiさん:「僕も振り返ってみると、子どもを迎えるまでの過程はものすごく複雑でした。でも、法律的なところより、自分自身が親になるという感覚だったり、子どもの愛しかただったり、そういう気持ちの部分がどこか不安ではありました。それは親になる人なら、みんな同じなのかもしれません。法律の問題は、大変だったけど他にもやっている人がいたので、不可能だとは思いませんでした。それよりも感情面で、自分がもしも途中で嫌になったり、怖くなって逃げ出したりしたらどうしようとか、そういう自分自身の心のあり方のほうが悩みどころでした」

いっくんが生まれるまでの期間、2人は「トツキトオカ」という妊娠記録アプリに、それぞれの想いを日記のように書いて過ごしていたそうです。

Kojiさん:「生まれる日にちがある程度わかっていたので、その過程での自分たちの心の移り変わりを取っておきたいと思ったんです。写真と一言メッセージで、その時に自分がリアルな気持ちで何を思っていたのかを残してあって。見返した時にすごくよかったなと思いました」

Shibaさん:「一緒に読み返していたんですが、隣りを見たら泣いている人がいました」

Kojiさん:「僕は、Shibaより感情が込み上げるタイプなんです(笑)」

ソーシャルネットワークから 広がる日常の幸せ

ShibaさんとKojiさんは、主にInstagram(@shiba_dads_/ @koji_dads)とYouTube(SHIBA and KOJI)から、家族の日々の暮らしを発信しています。伊豆の豊かな自然の中に訪れる四季の風景の中で、笑い合ったり、ご飯を食べたり、よそ行きの格好をしてみたり。そんな3人の何気ない日常を美しく伝えてくれる写真や動画からは、まるで眺めているだけで幸せのおすそ分けをもらえるようです。2人は様々なアプリを活用しながら、撮影や編集、楽曲の制作までを自分たちで手がけています。

Shibaさん:「元々はInstagramやYouTubeで、2人の思い出になればいいなと思って日常生活を配信していたんです。それが続いて今に至るので、子どもが生まれたから発信しているというよりは、日常の延長線上に近いかもしれません。今は特にInstagramが自分たちに合っている感じがして、主に『Lightroom』の機能を使って、アスペクト比をどのようにするとiPhoneの画面で見栄えがいいか、などを考えながら撮影や編集を行なっています。

自分たちが住んでいるところは四季の変化が豊かで、色の変化が大きいんです。投稿を見てくれる人の中には海外の方もいらっしゃるので、できるだけその時のままの色を出せるように、という部分ではこだわりがあります。日本の緑は、彩度や輝度がすこし低く、じっとりしている感じがあるので『Lightroom』では彩度をあまり上げないようにしています。ビビッドな明るい世界よりも幽玄の世界、というのでしょうか。その方が日本の季節の香りとか湿度を伝えられると思います。設定で言うと、Lightの白レベルとハイライトの調整でも、過度に明るくなると雰囲気が伝わらない気がするので、できるかぎり抑えて落ち着いた感じにしています」

もし、2人のように写真や動画を上手に撮って発信してみたい人がいたら、どのようにアドバイスしますか?と聞くと、照れるように笑い合ったShibaさんとKojiさん。もちろん技術を身につけるのも重要ではありますが、一番大切なのは表現に向かうモチベーションかもしれない、とShibaさんは答えます。

Shibaさん:「自分一人のためだったら、写真や動画で表現はしていなかったし、そのための勉強もしなかったと思います。自分やKojiが目にしていて、すてきだと思っているものや風景を写真や映像にすることで、Kojiが喜んでくれたり、他の人にも喜んでもらえたりする。それが自分は嬉しいんだと思います。それをプレゼントみたいに、はい、どうぞって渡せた瞬間が好きなんです。上手く形にできずにショックを受けることもあるけれど、そういう心があれば続けていけるし、挑戦を繰り返して成長できるのかな、と思います」

子育てを彩る お気に入りアプリ

ShibaさんとKojiさんといっくんが家族になってからの3年間、そして、伊豆の自然の中で暮らす日常。子どもの成長と共に変わっていく日々の中で、子育ての苦労と楽しさは尽きることがありません。話題は、2人が普段から活用しているお気に入りのアプリにも及びました。

Kojiさん:「いっくんと家の周りを散歩したり、探索しながら使っているのが植物識別アプリの『PictureThis』です。特に気に入っている機能が『Myガーデン』で、自分で撮った写真はもちろん、すてきなミツマタの花がいつ咲いたとか、好きな植物の季語を調べられたり、そういうお気に入りの要素を一覧にして見られます。

他にも、有毒植物のことを教えてくれる機能があって、毒のあるものはどのくらい危ないとか、知識を深められるんです。家の周りにはシカが多くて、シカはだいたいの植物を食べるんですが、食べずに残っているものには毒があることが多いんです。その残っていた植物がどれくらい危ないのかを調べたり、いっくんに教えてあげられたりします」

Shibaさん:「他には、Bimi Booというデベロッパの知育アプリもよく使っています。最近、いっくんが1から10までを数えられるようになったのですが、自分たちが持っている数字のおもちゃと組み合わせて、物が何個あるかというのをアプリを見ながら楽 しく学んでいます。子どもが飽きないような工夫があるので、ちゃんと覚えてくれるんです。

今振り返ってみると、隣に家もない、コンビニまで30分くらいかかる場所に住んでいるので、子育てでわからないことがあったときの不安も大きかったです。一つひとつクリアして、ケンカしながらも3年間。夜泣きがすごい子だったので、朝まで寝られないこともありました。仕事と子育てを両立しながら子どもに愛情を注ぐこと、その上で自分のやりたい事ができるようになるまでは、ものすごく手こずりましたね。でも、やっぱり3年経ってみると、いい思い出になったと思っています」

未来に向けて 伝えたいこと

大好きな「パパ」と「とと」に囲まれてうれしそうないっくんを見つめながら、話題はさらに今後のことへつながっていきます。自分たち家族のあり方や、これからも周囲に発信していきたいこと。ShibaさんとKojiさんが、未来へ向けていっくんに伝えたいことは何でしょうか。その胸の内を、Shibaさんはこう言葉にします。

Shibaさん:「自分たちの家族としてのあり方を、いっくんにどう伝えていくか。具体的な方法でいうと、絵本の読み聞かせをしています。特に米国では代理出産や、同性間の子どもも広く知られていて、かなりの数の先例が存在するので、そういう家族について描いた絵本もあったりするんです。いっくんには、そういうものを徐々に見せるようにしています。幼稚園や社会に出た時のために、自分たちとは違う家族の形があることや、ママという存在が何で、パパやとと、とはなにが違うのかといったことを徐々に教えていくつもりです。今のところ、それほど心配はしていません。 

ソーシャルネットワークで発信した時には、ネガティブな意見で傷つくこともたくさんありました。これは、僕たちが自然の中の生活で体験していることと近くて、毒のある植物に傷つけられてしまったり、人にはお構いなしの厳しい気候の変化に苦しめられたり、そういう経験に例えられるのかもしれません。 僕たちはその一つひとつから学び、対処して、生き延びるすべを学んでいます。

自然との付き合い方で言うと、息子は自ら進んで虫除けスプレーを塗ったり、寒くなったら風邪をひいちゃう!と言って暖い洋服を用意したりします。それどころか、寒くない?と僕たちを心配してくれることもあります。そういう意味で、僕たちは一緒に強くなっている実感があります。そして、豊かな自然を前にしてキラキラと輝く息子の目は、時に厳しい環境の中でどのように楽しみや豊かさを発見していくのか、僕たちに大切なことを教えてくれています。

息子は今はまだ3歳で、小さな小さな子どもです。だからこそ、僕たちは安全と安心や家族の絆、愛されているという実感を何よりも伝えていきたいと思っています。それは、これからの時代を生きる上で大切な武器になると思っています」

ShibaさんとKojiさんが活用しているアプリ

※インタビューは2024年4月に実施されました。